料理はよく、
「冷めるときに味が染みる」
と言われますが、それはなぜでしょうか?
少し科学的に解説します。
冷めるときに味が染みる理由
おでんやカレーなど、お料理を作るときには加熱をしますよね。
そうすると、具材も加熱される。
具材は細胞からできています。
そしてその細胞は「細胞壁」というカベで守られています。
そのカベは、フィルターのようになっています。
フィルターには目に見えない、ごくごく小さい小さい穴が開いていて、自由に行き来できるのは『水』だけ。
フィルターはごくごく小さい水分子だけが自由に行き来できる、そんなイメージです。
でも、加熱することによって、そのフィルターの機能がこわれて、水以外の塩分なども行き来できるようになります。
そうすると、フィルターを外したような状態になるので、
ちょうど水とインクの入った水槽がカベで仕切られていて、
そのカベを外した時のように、調味液は水の方に移動しようとします。
おでんを例にとって、説明しましょう。
まずおでんの具材を入れて煮込み始めますよね。
でも、加熱し続けるとお野菜など、具材は煮崩れてしまいますから、
具材が柔らかく煮えたところで加熱を止めます。
でも、フィルターはこわれてしまっていますから、調味液は細胞の中に移動し続けます。
そうしてゆっくり冷めていく中で、じわじわ細胞の中に調味液、すなわち味が染み込んでいく・・・
これが、味が染みる工程です。
じゃあ、加熱し続けても味が染みるんじゃない?
ここで一つ疑問が起きます。
加熱し続けても味が染み込むのではないのか?ということです。
加熱によってフィルターが壊れているので、冷ます必要はないのではないかと。
これには、二つ回答があります。
一つは、フィルターを通して調味料が細胞内に入り込むには
時間がかる(およそ煮込み時間の2倍以上)ので、
加熱を止めずに長時間煮込んでいると煮崩れてしまう。
だから加熱し続けても味は染みるが、入り込む頃には煮崩れてしまっている、ということです。
もう一つは、加熱し続けて染み込ませると、
具材の「旨味」が逆に煮汁に流れ出てしまうので味が落ちる
ということです。
厳密に言うと、もう少し突っ込んで説明したい気もしますが、
今日はこの辺にします。